勉強(学力)と睡眠の関係性は?睡眠がもたらす影響や理想の睡眠とは
2024.08.07
ファミリー 代表 寺井俊行
こんにちは!家庭教師のファミリーです。
子どもにとって、毎日の睡眠は非常に重要です。
睡眠の時間や質は、健康はもちろん、勉強へのやる気や効率にも大きく影響します。
また、テスト前に慌てて睡眠時間を削って勉強時間を増やしたところで学習効率は上がりません。
質の良い十分な睡眠をとることが、効率を上げる近道になります。
では、子どもにとっての理想の睡眠とは、どのようなものなのでしょうか。
今回は、勉強と睡眠の関係性と子どもの理想の睡眠について、詳しく解説します。
学力の向上に大きくかかわる睡眠の影響とは?
まずは、睡眠が子どもの勉強や成長に与える影響についてみていきましょう。
十分な睡眠による良い影響とは?
睡眠を十分に取ることは、子どもに次のような良い影響を与えます。
学習記憶の定着
睡眠には、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があり、私たちの脳は、寝ている間にこの2つの状態を繰り返しています。
これらの状態は、それぞれ以下の役割を持ちます。
- ・レム睡眠・・・脳が活発に働いている、夢をみる
- ・ノンレム睡眠・・・脳や体の疲れを回復させ、必要な情報=記憶を固定する
このうちの「レム睡眠」は、眠りながらも、脳がしっかり動いている状態。
この状態の睡眠では、脳は昼間に得た情報を整理し、記憶として定着させているといわれています。
つまり、勉強した内容をしっかり記憶して定着させるには、「レム睡眠」が非常に重要なのです。
通常、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」は、90~120分程の周期で繰り返されます。
そのため、「レム睡眠」の時間を確保するためには、十分な睡眠時間を確保することが大切です。
広島県教育委員会の『基礎・基本』定着状況調査報告書でも、国語と算数において睡眠時間7~10時間の生徒が成績が良いというデータが出ており、健康づくりのための睡眠ガイド2023(P17)でも睡眠時間が不足している場合に成績の低下に影響を及ぼすと記載されています。
集中力・やる気の向上
しっかり疲労を回復した脳と体は、前向きにポジティブな精神状態を立ててるため、勉強へのやる気スイッチも入りやすくなり、スッキリとした頭で勉強に集中することができるようになります。
このような学習効果を上げるためにも、毎日しっかり睡眠を取ることが大切です。
疲労回復・ストレス緩和・体や脳の発達
学校や遊び、宿題、習い事などをこなし、一日を終えた子どもたちの脳と体は疲れています。
この疲労を回復させるためにも、睡眠は重要です。
なぜなら、前述の「ノンレム睡眠」の状態では、深い眠りによって脳や体が休まり、蓄積した疲労も回復されていくからです。
また、睡眠中は昼間に受けたストレスも緩和され、心身の状態が整います。
また、睡眠中には成長ホルモンが分泌されます。
体の発達だけでなく、脳機能を正常に稼働させて発達させるためには適切な睡眠が必要です。
睡眠不足・質の悪い睡眠による悪い影響とは?
睡眠不足や質の悪い睡眠は、子どもの脳や体に次のような悪影響を与えます。
学習効率の低下
前述したように十分に「レム睡眠」がとれないと、せっかく昼間に勉強したこともとしても、記憶として定着しにくくなり、すぐに忘れてしまうことになります。
「ノンレム睡眠」による心身の回復も十分に行えず、疲れが残って思考スピードが落ちたり、勉強への集中力や意欲も低下してしまうでしょう。
また、脳機能がうまく働かず、計算ミスなどのケアレスミスや文章問題の読み間違いでの不正解などにもつながってしまいます。
心身の不安定
睡眠不足や質の悪い睡眠は、心身の不安定も引き起こします。
疲労やストレスが解消できていないため、昼間も眠気が強くやる気が出なくなったり、イライラしたり、疲れやすくなったり、さらには体の発育に影響が出たりすることもあるでしょう。
睡眠不足では扁桃体が正常に機能しなくなるため、物事を後ろ向きに捉えがちになり、憂鬱感も起こりやすくなります。
また、睡眠が足りていないと免疫を低下させたり、情緒を司る脳のセロトニン神経系の発達を妨げたりすることもわかっています。
このように健康な体や脳を維持するためにも、十分な質の高い睡眠は大切なのです。
子どもの学力向上に最も良い睡眠をご紹介
ここまでは、子どもの学力や成長には、睡眠が重要であるとお伝えしました。
では、子どもに良い影響を与える理想の睡眠とはどのようなものなのでしょうか。
理想の睡眠とそれを実現するための方法についても、詳しくご紹介します。
最も良い就寝・起床時刻・睡眠時間
「基礎講座 睡眠改善学」(監修 白川修一郎、編集 日本睡眠改善協議会)によると、小学生の学力は睡眠時間が長く取れている子ほど成績がいいというデータがあります。
国語、算数、理科、社会の主要4教科のテストの平均点が95点以上の子の就寝時刻は、9時前41%、9時台28%、10時台22%、11時台14%、12時台0%。就寝時刻が遅くなるほど平均点が低くなることもあるようです。
ただし、睡眠時間が長い方が学習にはいいようですが、長すぎても効果が上がることはなく一定のところでその効果は停滞します。
また、2006年に山口県で実施された調査では、「毎日20〜21時までに就寝する子どもの偏差値や知能指数がもっとも高く、それ以降は低下していく」という結果が出されました。
厚生労働省が2023年に出した「健康づくりのための睡眠ガイド」では、小学生9時間以上12時間未満、 中学・高校生8時間以上12時間未満の睡眠時間が推奨されています。
これらの結果を踏まえると、学力向上に最も良い就寝時刻と起床時刻は、以下のようになります。
<小学生>
- ・就寝時刻:〜21時
- ・起床時刻:6時〜7時
<中学生>
- ・就寝時刻:〜22時
- ・起床時刻:6時〜7時
中高校生で睡眠時間が短いお子さまでも、脳の成長ホルモンが出やすいとされる22時~翌2時ごろを含んだ睡眠時間を設定するのが望ましいと考えられています。
この時間をベースに早寝早起きを習慣づければ、規則正しい生活リズムが確保できるだけでなく、学力向上に直結する脳環境が得られることになります。
質の良い睡眠を取るためのポイント
ここからは、質の良い睡眠を取るためのポイントをご紹介します。
ベッドに入ってからのスマホやゲームは絶対にダメ
睡眠前に強い光を浴びると、脳が覚醒し、その後の睡眠の質は低下してしまいます。
放っておくと眠る前にはついスマホを見たりゲームをしたりしてしまいますので、スマホやゲームを子どもに与えると同時に、使用ルールを決めましょう。最初が肝心です。
就寝時刻を決めることとセットで、スマホの使用時刻も決めて、受信通知しないように設定してからベッドに入るなど明確なルールを話し合って決めましょう。
現代の子どもとのルール作りで最も大切な項目は、就寝時刻になったらスマホをやめて寝るということです。
一日の生活の中で絶対に押さえておきたいのが就寝時刻なのです。
起床時刻は学校があるため自動的に決まってきますので、就寝時刻が遅くなると遅くなった分だけ睡眠時間を削って調整するしか方法がありません。その結果、睡眠不足のまま起床することになり、不完全な状態で一日を過ごしてしまうことになります。
つまり、就寝時刻を決めるということは、翌日の丸一日のパフォーマンスを決めることと同じ意味を持つのです。
就寝時刻を守らずに好き放題に過ごしていると、毎日が不完全な状態で過ごしていることになるため、勉強も運動も肉体的にも精神的にも、成長スピードが周りの子と比べてどんどん差が広がってしまうことになります。
こうなってしまうと、なかなか取り戻すことが大変になってきますので、そのような状態にならないためには、たった一つ「就寝時刻を決める」ということを覚えておきましょう。
ルールの決め方については「子どものゲームルールはどうしてる?実例や決め方のポイントをご紹介!」も、ぜひ参考にしてみてください。
適度な運動を習慣化させる
適度な運動による適度な疲労感は、睡眠の質を向上させます。
また、睡眠の質だけでなく、成長期における運動は単に体力をつけるということだけでなく、体を大きく強く丈夫に成長させることにつながり、筋肉や骨はもちろん、内蔵機能、代謝機能、免疫機能にも多大な影響を与えます。
また、睡眠と同様に適度な運動は自律神経やメンタルにも好影響を与えますので、運動と睡眠の両方がバランスよく行われることで心身ともに健康に成長することができるのです。
まずは子どもが興味のあるスポーツや運動を見つけ、一緒に行ってみたり、習い事をさせるのも良いでしょう。
学力が伸びる睡眠を上手に習慣化するコツ
十分な睡眠時間を理想の時間帯に取り、規則正しい生活を送ることが重要とお伝えしましたが、習慣化させることは決して簡単なことではありません。
そこで、最後に就寝時刻を固定化して睡眠だけではなく一日を効率的に過ごせるよう習慣化するためのコツをお伝えしますので、ぜひ参考になさってください。
一日を5時間と考える
一日は24時間あるわけですが、逆に24時間もあると考えるので、今目の前のことを優先してしまい、もうちょっと大丈夫だろうと他のことを先送りになってしまいがちです。
その結果、一日の最後にある「寝る」という行為が遅れることで時間調整されることとなり、結果として睡眠時間が削られることになるのです。
そこで、就寝時刻を22時と決めた場合、22時を起点として翌朝7時に起床してから、学校に行く準備をして登校し、学校からの帰宅時間を仮に17時とします。
つまり、22時から翌日17時までは学校が休みでない限りは自分の予定を自由に入れることができません。
よって、自分の自由にできる時間はわずか5時間ということになります。
この5時間を自分に与えられた一日と考え、5時間で何をするのかを考えればいいのです。
一日の時間を限定したスケジュールの組み方
具体的には①勉強、②夕食、③お風呂、④自由(スマホ・ゲーム)の4項目に分けられると思います。
この中で一番やりたくないであろう①の勉強を真っ先に片づけてしまえば、後の夕食・お風呂・自由(スマホ・ゲーム)は22時までの間であれば好きなだけ自由に時間をとることができます。
勉強は1時間や2時間など時間で決めてもよいですし、何ページまでというように範囲で決めてもよいでしょう。
仮に17時に帰宅して、勉強を仮に1時間やることになりますが、この時も「これが終わったら大好きなゲームの続きができる!」と思えば、早く勉強を終わらせようとワクワクしながら勉強時間を過ごすことになるでしょう。
実際に勉強タイムが終われば、22時までの間、好きなことを自由にやっていいのです。
しかも、このルールを親子で話し合って決めておけば、いちいち親から勉強の催促を受けることもなく、親も子も機嫌よく、かつ勉強タイムをワクワクしながら取り組む毎日を過ごすことができます。
勉強タイムだけを決めて、後はそれだけを日々親が確認すれば、そのほかのことはすべて子どもに任せるので、親も気にする必要もなくなり機嫌よく過ごすことが可能になります。
部活動や塾・習い事をしている場合は、実情に合わせて曜日ごとに5時間の部分の時間数を変えてルールを作るようにしてください。
また、夜の時間帯で勉強タイムがどうしても確保できない場合は、起床から登校までの朝の時間帯に勉強タイムを入れるというルールもアリだと思います。
帰宅時刻~就寝時刻は個々に合わせて設定しましょう。
高校生の場合は就寝時刻を23時にしたり、逆に起床時刻を6時にしたりと実際の生活環境に合わせてアレンジしてみましょう。
大事なことは一日24時間ではなく、帰宅後から就寝までの時間で捉えること。
そして就寝時刻までの時間帯で予定を子ども自身が決め、実行してもらいましょう。
なかには就寝時刻は22時と固定され、睡眠の習慣化はできたけど、なかなか勉強の習慣化まではできていないという方もいらっしゃるかもしれません。
頭ではわかっているのに、なかなか習慣が身につかないのが厄介なところです。
このような方のために、「勉強習慣の付け方は?子どもと言い争いにならずに習慣を付ける方法コツ」で解説していますので、参考にしてみてくださいね。
質の高い睡眠と学力向上には深い関係がある!
子どもの学力と健康に、睡眠は大きな影響を与えます。
質の高い十分な時間の睡眠は、学習記憶の定着や疲労回復、ストレス緩和といった良い影響を与えますが、睡眠が不足すると学習効率の低下や心身の不安定をもたらします。
学力向上のためにも小学生は最低9時間、中高生は最低8時間の睡眠を毎日とりましょう。
睡眠時間が短くなる主な原因は、就寝時刻が遅くなることなので、就寝時刻を決めるということが非常に重要です。特に寝る前のスマホやゲームは百害あって一利なし。
就寝時刻を決めて規則正しい毎日を送るためには、習慣化させる必要があります。
上手に習慣化させるコツは、帰宅してから寝るまでの時間(約5時間)を一日と捉えて、その時間帯で何をするのかを予定を立てておくというもの。勉強する予定も入っていれば親もいちいち気にすることもなくなり、残りの時間で目いっぱい好きなことに没頭できます。
このように家庭教師のファミリーでは、”勉強を教えて学力を伸ばす”という以前に、日頃からの勉強の習慣や生活の習慣の改善に力を入れており、楽しくスムーズに習慣化できるよう個別にサポートしています。
問題の解き方は学校や塾でも教えてくれますが、学び方・勉強のやり方といった日頃の生活習慣・行動習慣は、誰からも教わりません。
教わらなくてもちゃんとできる子はほんの一握りで、教わらないとできない子ども達がほとんどです。
家庭教師のファミリーでは経験豊富なプロ教師が中心となり、子ども達一人ひとりの特性を見極めて、わからないところを教えるだけでなく、勉強のやり方・成績の伸ばし方をレクチャーしています。
成績を上げたいという方だけでなく、ゲームばかりでダラダラした生活習慣を改善したい方や、親の言うことをまったく聞かないが子どもの将来が心配という方も、ぜひ一度ご相談ください。
無料のカウンセリングも大変好評ですので、ぜひお役立てください。
著者ファミリー 代表 寺井俊行
大学生の家庭教師が主流の中、顧客からのより専門的で高度な要求に応えるため、教師のプロフェッショナルとして、質の高い授業を提供。
常にハイレベルな授業を提供できるように、日々指導法や教材の研究等を行い、また、大学生や一般の家庭教師に対して研修や授業のアドバイスを行うことで、ファミリー全体の授業スキルの向上を図っています。
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