ADHD(注意欠陥多動性障害)のお子さまに適した勉強法
2021.02.04
川合 淳
こんにちは!家庭教師のファミリー認定プロ教師の川合です。
「ADHD(注意欠陥多動性障害)」という言葉は、2008年頃に日本精神神経学会で示されてから年々身近でも聞かれるようになってきています。
以前は性格やしつけの問題と思われていたお子さまの特性が、脳の働きによるものという知識は浸透してきた一方で、具体的な対応方法が分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ADHDのお子さまの能力は、正しい勉強法を知って実践すれば引き出せる場合があります!
能力を引き出すためのコツ、注意点などをまとめましたので一例としてご覧ください。
ADHD(注意欠陥多動性障害)のお子さまの勉強に対する特性
「ADHD」とは「注意欠陥多動性障害」とも呼ばれる発達障害の一つで、自分の行動を抑制・コントロールする脳の機能に影響が出ていることに起因すると考えられています。
一口に「ADHD」と言っても、そこに現れる特性はお子さまによって様々です。
一般的に言われているのは、「注意欠陥型」と「多動・衝動型」に大きく分けられるということです。
そして、両方の特性をあわせ持つケースも多く見られます。
それぞれのタイプの傾向とお子さま一人ひとりの個性を総合すると、対策方法が見つけやすくなります。
「注意欠陥型」タイプの特徴とは?
ひとつのことに集中できず、すぐに周りのことに気を取られ、集中力が途切れてしまうのが注意欠陥型の特徴です。
逆に、興味があることには集中しすぎて、切り替えることができないといった一面もあるようです。
このため「学校の先生の話を集中して聞けない」「課題や遊びの途中でも他に気を取られて投げ出してしまう」「興味のないことは取り組まない」などの症状が見られます。
また、忘れ物が多い、物をなくしやすいなど、注意力が散漫になりやすいがゆえの特徴が出る子も少なくありません。
「多動・衝動型」タイプの特徴とは?
体を動かしたい、おしゃべりをしたい、といった衝動が抑えられないのが多動・衝動型の特徴です。
自分の行動や感情をコントロールすることが苦手な子が多く、(特に行動をコントロールしにくいのを「多動性」、感情を抑えにくいのを「衝動性」と細分化することもあります。)
それゆえに「授業中にじっと座っていることができない」「他人の行動を邪魔したりさえぎったりする」「順番を待てずに横入りをしてしまう」などの症状が見られます。
また「公共の場ではおとなしくする」などのルールが守れなかったり、時には、負の感情や力の入れ加減がコントロールできずに、暴力的に振る舞ってしまうこともあると言われています。
「注意欠陥」「多動性」「衝動性」を持つお子さまたちの中には、二次障害(基となる障害の影響を受けて別な障害が発現する)として「うつ傾向」があったり、自閉症スペクトラムなど他の神経系障害を併発している子もいます。
ADHDの症状によって、勉強に集中できず成績が下がる、落ち着いていられないために注意されたりからかわれやすいなどのことから「自分はできない」「やろうとしてもダメだ」と自尊心が傷つき、学校嫌いや衝動的な行動に繋がりやすくなります。
症状に適切に対策し、二次障害を防ぐためにも、医師と教育機関、保護者さまでそれぞれ連携し、お子さま一人ひとりの状況や環境に合わせ対応していくのが望ましいと考えられています。
ADHD(注意欠陥多動性障害)のお子さまにはどんな勉強法が良い?
「注意力欠陥」「多動性」「衝動性」といった特性を持ったADHDのお子さまの能力を引き出すためには、どのような勉強法が考えられるのでしょうか。
「注意欠陥型」におすすめの勉強法と心得
とにかく気をつけてあげたいのは「集中力を保てるようにすること」です。
まずは、気が散りそうなものをできるだけ排除した環境を整えてあげます。
例えば、部屋を整理整頓する、おもちゃを見えないところに配置する、できるだけ騒音のない場所で勉強する、といった対応です。
次に、具体的な学習方法としては「問題数が少なめのシンプルな問題集を解かせること」で成功体験を身につけるのが効果的です。
一枚のプリントにしてあげるのもいいでしょう。
集中できるのは短時間かも知れませんが、短い集中時間で学習できる工夫と、その積み重ねが大切です。
「多動・衝動型」におすすめの勉強法と心得
勉強中でもすぐに動きたいという衝動に駆られますが、それを無理に抑えるのは逆にストレスになります。
動いてもすぐ戻ろうなどとルールを決めて、上手にストレスを発散させてあげてください。
具体的な勉強方法としては、注意欠陥型のお子さまと同じく、短時間で終わりそうなシンプルな教材に取り組ませてあげましょう。
過去に解けたものの類題を出すなど、わからずに途中でやめてしまうものは出題しないのも積み重ねるポイントです。
どちらの場合も、学習習慣がつくまでは人や物、音の多い集団の中よりも、ご家庭や個別指導での学習に重きをおいても良いでしょう。
どんどん新しい問題を解くのではなく、「わかる」「解いたことがある」問題に繰り返し取り組むことが大切です。
保護者さまが勉強時間を決めるのであれば、集中力の比較的高い帰宅後に短時間集中させて休憩をはさむ、一度に勉強するのは10分程度から始める、といった工夫も必要です。
また、明日の準備など、普段しなければならないことや忘れると困ることはスマホやタブレットなどのアラームやToDoアプリを活用したり、チェックリストを用意するなど、必要なことを思い出す・すぐやるための工夫をしてあげるといいですね。
なお、家庭教師のファミリーでは軽度発達障害の学習支援も行っています。
豊富な指導事例を教師間で共有し、お子さまの特性に合わせて柔軟に指導しております。
学習のサポートでお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
ADHD(注意欠陥多動性障害)のお子さまが秘める可能性を信じる
マイナスな側面がクローズアップされがちですが、ひとつ確実に言えることは、ADHDのお子さまは、ADHDではないお子さまとは違った可能性を持っているということです。
「集中力が続かない」と言えばそれは短所になりますが、「好奇心旺盛」という長所と捉えることもできます。
「多動性」も鍛えればフットワークの軽さに、「衝動性」は決断力の素早さにつながる可能性があります。
前者だと思うとイライラしがちですが、まずは周りの大人たちが、できるだけこのようなプラス思考な姿勢でお子さまに接していくことが大切です。
レオナルド・ダ・ヴィンチ、モーツァルト、エジソン、アインシュタイン、ピカソ、チェ・ゲバラ、坂本龍馬といった名だたる偉人たちもADHDだったのではないか、という説もあります。
無理に周りに合わせようとするのではなく、お子さまに寄り添ったサポートや様々な工夫・試行錯誤を繰り返して困難を乗り越え、お子さまの自信に繋げてあげたいですね。
ゆっくり成長を見守り、できたことを褒めるのが大切
ADHDのお子さまは「テスト中に集中力がなくなり点数がとれない」「他のことが気になって怪我をしてしまった」「周囲の友達とうまくなじめない」など、他の子と比較してできるまで時間がかかったり、挫折を経験することが多いとも言えます。
日常の学習においてもそうです。
保護者さまのサポートでは「褒める」ことと、必要以上に叱らないことが重要です。
まずは点数にはこだわらず、決められた時間をこなしたことを褒める。
慣れてきたら、前回よりも点数が1点でも高ければ褒める。
怠けてしまっても何度も叱るのではなく、うまく誘導したうえで自発的に勉強を始めさせて褒める。
得意分野がある子なら先に毎日の学習へ取り入れてから、短時間だけ苦手の克服に向かうという作戦もあります。
最初は保護者さまもイライラしたり心配するかもしれませんが、叱るより褒めることが長所を伸ばすことにつながります。
お子さまに合わせた勉強法で学習の積み重ねを目指しましょう
ADHD(注意欠陥多動性障害)のお子さまの勉強ポイントは下記の3つです。
・短時間でも集中できる環境づくりやルール決めをする
・シンプルな問題集やプリントで、短時間の学習を積み重ねる
・ADHDが秘める才能を伸ばす姿勢でお子さまに接する
ADHDのお子さまに限った話ではないですが、周りの大人次第で、お子さまの自己肯定感は高くも低くもなります。
お子さまの明るい未来に向けて、上手にサポートしてあげてくださいね。
保護者さまだけで抱え込まず、時には周りの協力を得ることも大事だと思います。
家庭教師のファミリーでも軽度発達障害の学習支援も行っています。
障害に対してではなく、お子さま一人ひとりに合わせた指導を行っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
著者川合 淳
小学生の基礎力養成から中学受験、大学受験までオールマイティに指導を行い、紹介で受け持つ生徒も多いベテランプロ教師。穏やかな口調からは数々の生徒・保護者の問題を親身に解決してきた風格が漂う…。
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