発達障害の子は不登校になりやすい? その原因や親ができることは?

学習のヒント

2023.08.09

ファミリー 代表 寺井俊行

こんにちは!家庭教師のファミリーです。

 

子どもの不登校は、ここ数年大きく増加しています。

 

この傾向は小学校でも中学校でも見られ、2022年の文部科学省の調査では、小・中学校合わせた不登校児童の数は24万人以上になるとの結果が出されました。

 

そして、不登校の子どもの中には、発達障害の子どもも多いといわれています。

 

増加する不登校の子どもの中に、発達障害の子どもが多い原因は何なのでしょうか。

また、親はどのように対応すればいいのでしょうか。

 

今回は、発達障害の子どもの不登校について詳しく解説します。

 

 

 

 

実は不登校には発達障害の子どもが多い!その理由とは

まずは、不登校に発達障害の子どもが多い理由についてみていきましょう。

 

 

 

不登校になった”キッカケ”

近年、不登校になる子どもは増加傾向にあります。

 

不登校になったきっかけは子どもによって異なりますが、2020年に小学生と中学生を対象に文部科学省が行った不登校児童生徒の実態調査では次のような結果が得られました。

 

 

【最初に学校へ行きづらいと感じ始めたきっかけ】

 

小学生(小学6年生約700人を対象)

  • ・先生のこと(先生と合わなかったなど)・・・29.7%
  • ・身体の不調(学校に行こうとすると腹痛が出るなど)・・・26.5%
  • ・生活リズムの乱れ(朝起きられないなど)・・・25.7%
  • ・きっかけはわからない・・・25.5%
  • ・友達のこと(いじめや嫌がらせ)・・・25.2%

 

中学生(中学2年生約1300人を対象)

  • ・身体の不調(学校に行こうとすると腹痛が出るなど)・・・32.6%
  • ・勉強がわからない・・・27.6%
  • ・先生のこと(先生と合わなかったなど)・・・29.7%
  • ・友達のこと(いじめはない)・・・25.6%
  • ・友達のこと(いじめや嫌がらせ)・・・25.5%
  • ・生活リズムの乱れ(朝起きられないなど)・・・25.5%

 

これらの情報から、先生や友達との「対人関係」がうまくいかないことや学校についていけないなど「勉強関係」のことが、不登校のきっかけになるケースが多いとわかります。

 

子どもの不登校の原因については「子どもが不登校になる原因は?解決策や学校外の支援についても知ろう」でも解説しています。

 

 

 

なぜ不登校に発達障害の子が多い?

不登校になる子の中には、発達障害と診断されている子やグレーゾーンの子が多いといわれています。

 

発達障害やグレーゾーンの子どもの多くは、集団での勉強や他者とのコミュニケーションを苦手とすることが多く、そのために不登校になってしまうことがあると言われています。

 

主な発達障害の症状の特性を確認しておきましょう。

 

【自閉症スペクトラム障害(ASD)】

対人関係の不得意や強いこだわりを特徴とする発達障害のこと。

場の空気を読んだり相手の気持ちを理解したりするのが難しく、自分のルールに対するこだわりも極端に強いため、学校での人間関係がうまくいかないことがある。

 

【注意欠如・多動症(ADHD)】

注意を持続させたり行動を抑制したりするのが難しい発達障害のこと。

落ち着きがなく待つのも苦手なので、先生から怒られることが多かったり、周りに馴染めなかったりして、学校生活が困難になることがある。

 

【学習障害(LD)】

読み書きの能力や計算能力に対する発達障害のこと。

集団で勉強していると、特定の分野で授業についていけず、自信を失ってしまうことがある。

 
 

このように、発達障害の子どもは周囲とのコミュニケーションがとりにくかったり、勉強を理解するのが遅かったりします。

 

同じクラスの友人との関係がうまくいかなかったり、担任の先生から叱責されたりすることで自信をなくし、自己肯定感が下がり、「学校に行きたくない」と考えるようになる子どもは少なくありません。

 

つまり、発達障害の特性を抱えながら周りの理解も十分でない中で学校生活を送ることが、子どもにとって大きなストレス・負担になり、これを放置してしまうと不登校に発展していくのです。

 

発達障害と学習の課題については「もしかして発達障害?発達障害の種類ごとに学習面の対処法を解説 」でもご紹介しています。

 

 

 

 

発達障害の子どもが不登校になったら親はどうするべき?

勉強をする子供

発達障害の子どもが不登校になった時には、親は次のポイントを踏まえた行動をとるようにしましょう。

 

  • ・無理に学校に行かせようとしない
  • ・子どもの話をきちんと聞く
  • ・子どもを責めたり考えを否定したりしない
  • ・専門機関に相談する

 

各ポイントについてご説明します。

 

 

 

無理に学校に行かせようとしない

「学校に行きたくない」と言っている子どもを無理に学校に行かせるのは適切ではありません。

 

まずは、親が子どもの「学校に行きたくない」という思いを受け入れ、学校を休むことを許すことが大切です。

 

これにより、子どもは不安な心を落ち着かせることができるでしょう。

 

ただし放置するのは、また違います。

 

何も言わず放置してしまうのは、親にも見放されたと勘違いしてしまうことで孤独感を募らせ、余計に学校にいきたくなくなってしまいます。

適度な距離感で寄り添いながら少しずつ前に進めるようサポートすることが大事です。

 

 

 

子どもの話をきちんと聞く

子どもの話をきちんと聞くことも、親だからできる大切な役割です。

 

「いつでも話を聞くよ」という姿勢を子どもに向け、子どもが話を聞いて欲しそうにしているのなら、途中で遮らずに最後までじっくり話を聞いてあげましょう。

 

ただし、子どもに不登校の理由を無理矢理聞き出すのは好ましくありません。

子どもの気持ちを無視して問い詰めることのないよう注意しましょう。

 

 

 

子どもを責めたり考えを否定したりしない

学校に行けない子どもに対して、責めたり考えを否定したり、親の価値観を押し付けたりすることは逆効果になるのでやめましょう。

 

発達障害は先天的なものであり、しつけや教育の問題ではありません。

 

不登校になったのは発達障害に対する周りの理解が十分ではないことで子どもに負担がかかってしまったのです。

発達障害の子ども自身に悪い点があるわけではありませんので、それを責めることも否定することも筋違いな行動になります。

 

だからといって、学校やクラスメイトを非難したり責めたてても問題の解決にはなりませんので、じっくり子どもの話を聞いてあげて、まずは気持ちを落ち着かせましょう。

 

その上で、放っておくのではなく人間的な成長や勉強面をどのように補っていくのか、子どもの気持ちとも向き合いながらじっくり考えていきましょう。

 

 

 

専門機関に相談する

ほとんどの保護者の場合、子どもが不登校になってしまったらどうしてよいのか頭の中がパニックになることでしょう。

まして、子どもが発達障害なのであれば、なおさら困惑することでしょう。

 

子どものためだけでなく、親自身の安心のためにも第三者の専門機関の方に相談することをおすすめします。

 

まずは、身近なところで小中学校に設置されているスクールカウンセラーに相談してみましょう。

 

それ以外では、都道府県や市町村など各自治体に設置されている「教育支援センター」で不登校の子どもの支援・サポートを行っています。

 

また、不登校支援ということではありませんが、各自治体に設置されている「発達障害者支援センター」では発達障害による様々な悩みや相談を受け付けています。

 

保護者の方も一人で抱え込まずに、経験豊富な専門家の力を借りてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

不登校になったら勉強の遅れや進路はどうなる?

子どもが不登校になったことを親がようやく受け入れることができたとして、次に心配になるのは”今後の勉強はどうしよう?”という問題ではないでしょうか。

学校に行けばカリキュラムがあるので、それに沿って勉強できますが、不登校ということでそもそも授業がありませんし、時間割もカリキュラムもありません。

 

そのため、子どもが自分で勉強しないかぎりは、子どもの学力はそこで完全にストップしてしまいます。

 

だからといって、子どもに勉強しなさいと言ってもあまり効果がないことは容易に想像がつくでしょう。

また、発達障害という特性を持っている以上、集団形式はもともと馴染みにくいため、塾に通わせることも現実的には難しいといえます。

 

そんな時こそ検討してほしいのが、マンツーマンで対応してくれる家庭教師の利用です。

 

家庭教師というと何となく敷居が高いイメージがあったり、馴染みがない方もいらっしゃると思いますが、発達障害という特性を持っている子に対して、ストレスや負荷をかけることなく子どもに配慮しながら勉強を教えてくれるのは、1対1でできる家庭教師をおいて他にはないのではないでしょうか。

 

先ほど紹介した各自治体にある「教育支援センター」や「発達障害者支援センター」にも相談して解決できる部分はどんどん活用するべきです。

 

ただし、学校に通っていた時と同じことができるわけではありませんので、最終的には保護者が判断して、民間の教育サービスとうまく使い分けるのが良いかもしれません。

 

発達障害といっても、その程度や内容は子どもによって異なっていることは言うまでもありません。

 

また、当然ですが発達障害だからといって勉強しなくてよいということはなく、発達障害だから勉強が苦手ということでも決してありません。

子どもにとって適切な環境下で学ぶことができれば、どの子にもきっとすばらしい成果が得られるはずです。

 

 

 

発達障害を前向きにとらえ、自分にしかできないことを伸ばす教育を!

ここで一つ提案ですが、発達障害という特性を持った子が集団形式に馴染めずに不登校になったということを決してネガティブに捉えるのではなく、もっと前向きに捉えてみてはいかがでしょうか。

 

「子どもにとって最適な教育とは何なのか?」じっくり考える機会が与えられたのだと。

 

これからの時代は、保護者の皆さまが育った時の「みんなと同じことができるようになる教育」ではなく、「自分にしかできないことを伸ばす教育」が、大事になってくることでしょう。

 

このことを踏まえて考えると、不登校になったというネガティブな出来事を逆手に取り、「マンツーマン教育ができる家庭教師で、子どもの得意な分野を発見しながら伸ばしていくという自宅教育もアリではないでしょうか。

 

家庭教師のファミリーでは、子ども達一人ひとりの特性を見極めたうえで、指導方針を立てて、指導方法を工夫しながら、その子が目指す目標へと保護者様とも協力しながら導いています。

 

特に不登校が長期化した場合は、周りのみんなと同じように全日制の公立高校への進学は厳しいかもしれませんが、そのルートが正しい道でも正解でもありません。

 

昔と違い、今は大人になるまで(社会に出るまで)の道のりは、多様化していますし、世間も受け入れる土壌ができています。

 

毎日学校に通いたいというのであれば全日制の私立高校がありますし、集団はやっぱり苦手ということであれば通信制高校という道もあります。

また、学校へは行かずに高卒認定試験に合格して大学進学を目指すという道もあります。

 

学校という集団形態が合う子もいますし、合わない子もいます。

 

子どもにとって最も大切なことは、本人が活き活きと明るく前向きに取り組める学習環境で毎日学べるということではないでしょうか。

それを探してあげるのは親にしかできないことなのかもしれません。

 

 

 

 

不登校以外にも気をつけたい!発達障害の子どもの二次障害

何度もお伝えしているように発達障害は先天性のものであって、しつけや教育の問題ではありません。

 

だからといって、しつけや教育をしなくてよいということではありませんので、親や周りのひとが適切な配慮や子どもにとって必要な環境整備を怠ってしまうと、さらに状況を悪化させる事態に発展する危険性があるので注意が必要です。

 

発達障害を抱えた子ども達が、日々の生活を通して自信をなくしたり、自尊心を傷つけられたりして生きづらさを感じてしまうと、心や精神に支障をきたすことも十分に考えられます。

いわゆる精神疾患というもので、代表的なものとしてうつ病が挙げられます。

 

これらの病気は後天的なものであるため、発達障害の子ども達に想定される二次障害と言われています。

 

もちろん、発達障害ではない子どもであっても、日々の生活を通してひどく自尊心を傷つけられる状態が続けば同じように心や精神に支障をきたし、精神疾患を患うこともあります。

 

そのような二次障害を回避するためには、親が専門機関に相談して協力を得たり、学校や先生、スクールカウンセラーに相談して子どもに適切な環境を用意してもらうことが必要です。

 

また、不登校になったこともそうしたことを放置した結果起こった事態かと思いますので、そういう意味においては発達障害を抱える子の二次障害といえます。

 

二次障害に発展しないように十分に注意し、不登校などになってしまった場合は、先述した内容を参考にして、さらなる悪化を食い止めていただくようお願いします。

 

 

 

 

発達障害の不登校では行政機関と民間サービスを使い分けて対策を

発達障害の子どもの中には、不登校になる子どもが多いといわれています。

 

その理由は、発達障害の特性が周りとのコミュニケーションや勉強への理解を困難にするためです。

このような壁にぶつかって子どもが自己肯定感を低下させたり不登校になったりすることは、二次障害とも呼ばれます。

 

発達障害の子どもの不登校については、親は無理に学校に行かせたり問い詰めたりするのではなく、学校に行きたくない子どもの気持ちを受け入れ、見守り、そしてやりたいことをサポートしてあげることが大切です。

 

また、親が一人で抱え込まずに学校のスクールカウンセラーや「教育支援センター」、「発達障害者支援センター」などにも相談して協力を仰ぎましょう。

 

勉強の遅れについてはマンツーマンで自宅で学習できる家庭教師が適しています。

 

発達障害の特性を理解した家庭教師サービスを提供する民間機関もありますので費用はかかりますが、子どもにとっての最適な学習環境を整えてあげることも大事なことです。

 

家庭教師のファミリーでは、子ども一人ひとりの特性に合わせてマンツーマンで適切な指導を提供しながら目指したい夢や目標に導いています。

 

その指導方法の特徴から、発達障害やその傾向にある子どもに対する教育サポートも人気が高く、専用窓口を設けて専門スタッフが対応しています。

 

初めての方も多く、どのような対応をしてくれるのかわからない、うちの子でも大丈夫なのか?と気にされる方もいらっしゃいますので、ご興味や関心がある方は、お気軽にご相談ください。

 

対面でじっくり話が聞ける無料カウンセリングも受け付けていますので、ぜひご利用くださいね。

 

著者ファミリー 代表 寺井俊行

大学生の家庭教師が主流の中、顧客からのより専門的で高度な要求に応えるため、教師のプロフェッショナルとして、質の高い授業を提供。

常にハイレベルな授業を提供できるように、日々指導法や教材の研究等を行い、また、大学生や一般の家庭教師に対して研修や授業のアドバイスを行うことで、ファミリー全体の授業スキルの向上を図っています。

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